中国の宴席での席順
中国の宴席での席順

 生産拠点としてもマーケットとしても存在感を強めている中国。仕事で中国企業と関わりを持つ、なんてことが突然起きないとも限らないのが現状だ。中国とうまくつき合うカギは、実は「宴会」にある。上海在住19年、『90分でまるわかり中国』(朝日新聞出版)著者の亀田純香氏に、そのポイントについて寄稿していただいた。

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 中国人は「食」を非常に重視する。これはよく言われる話だが、実際はなかなか理解されない。日本ではこういうマナーが大切ですよ、と知らされていても、それを実行できる中国人が少ないのと同じように、日本人が中国流の考え方を理解するのは難しいものだ。

 中国出張や、日本に中国から人を招いての商談となると、多くの場合、宴会もセットになる。そこで、中国人との仕事をスムーズに運ぶために、絶対におさえておきたい宴会マニュアルを紹介しよう。

■席順がすべての基本

 宴会では「席順」が重要だ。中国では、相手先の誰をどこに座らせるかの事前調査が普通に行われている。主賓席に座ってもらう人を間違えると、相手の メンツをつぶすことになり、重大な禍根を残すことになってしまうためだ。

 日本で、クライアントの社長に名刺を投げて渡すような失礼は絶対にしないはず。中国の宴席で、本来上位に置くべき人を下位に置いてしまう失礼の度合いは、それに匹敵するかそれ以上なのだ。

 逆に中国側がセッティングした宴会であれば、席順を見るポイントをおさえておくと、相手側の序列がわかる。

 例えば、社長よりも副社長が偉いというケースも決して珍しくない。副社長は社内の共産党組織のトップにいて、社内の序列では社長よりも偉いといったこともあるためだ。

 こうしたケースで、社長の方ばかり見て、副社長をないがしろにしていては、当然その後の仕事にも悪影響が出る。誰が権力をもっているかは、席順で見分けがつく。このため、中国の現地企業では席順を含め宴会のセッティングをするのは一担当ではなく、管理職。日系企業は得てしてこういった準備を担当者にまかせがちだが、必ず管理職がチェックして、確認することが必要だ。

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