■乾杯の作法も重要

 中国の宴席の酒といえば、アルコール度数50度くらいの白酒(パイチュウ)。誰かの呼びかけで乾杯となり、グラスに注がれた白酒を飲み干す。これが乾杯の基本だ。

 50度の酒なんて飲み干せない! そう思うのは中国人も一緒。そんな人たち向けに数多く売られている宴会対策マニュアル本の中で、実際に使えるいくつかのポイントを押さえておきたい。

 まず、ホストが乾杯の呼びかけをする前に、勝手に「乾杯」するのはマナー違反。また、日本のように「まずはビールで乾杯!」ではなく、最初に乾杯の音頭をとる人の飲み物に合わせる。このときの飲み物は、たいてい白酒。その後の乾杯でも空気を読んで、何を飲むと場が盛り上がるか見極めたい。

 また宴会では、一人でグイグイ飲むのは避けたい。飲むときは乾杯を呼びかけて、必ず誰かと飲むのがマナーである。

 さらに乾杯のときは、何か一言あいさつできるとよい。健康や事業の発展などについて、一言添えるパターンが多いのは日本と同じだが、参加者の年齢や性格などにより、あまり堅苦しくないあいさつも用意しておきたい。私がよく使うのは「感情深、一口悶(親しい仲だから飲み干しましょう)」。宴会での乾杯の回数は多いので、いかにインパクトを与えておくかが、今後のビジネスにつながるポイントだ。

 ただ最近になり、こうした習慣も少しずつ変化してきた。日本と同様で、中国の若い世代は、こういう宴会に参加することを嫌うのだ。酒を飲むよりジム、直接会うよりチャット、仕事よりプライベートと、このジェネレーションギャップは日本よりも大きいものがある。こうした世代が主流になっていく分野のビジネスシーンでは、ここで書いた宴会のポイントも徐々に変わっていくとは思うが、少なくともあと数年は中国流が変わることはないと思われる。

 頭ではわかっていても、実際に中国人とビジネス上でつき合うとなると戸惑う人は多い。ただ、宴会のポイントを知っていれば大きなチャンスになることを覚えておいてほしい。