なお、次のラウンド16(決勝トーナメント1回戦)では、鹿島が広州恒大、浦和が済州、川崎Fがムアントン(タイ)と顔を合わせる。東地区のもう1試合は中国勢同士(上海上港対江蘇蘇寧)のつぶし合いだ。日本勢にとって、悪くはない組み合わせだろう。

 目下、Kリーグ(韓国)で首位に立つ済州の力は侮れないものの、ACLの経験値では浦和が一枚上手。昨季は同じラウンド16でFCソウル(韓国)と戦い、PK戦の末に敗退している。それだけに、勝ち抜きへのこだわりは例年にも増して強いはずだ。ACLへの出場は3年連続。そろそろ運が味方してもいい頃でもある。

 ベストの陣容がそろえば、川崎Fも面白い。ここにきて、ケガ人が続々と復帰しているのも追い風だ。数人のタイ代表を擁するムアントンとのアウェー戦をうまくやり過ごせば、8強へのトビラを開けるかもしれない。

 突破の難易度が最も高いのは鹿島か。過去5年で二度もアジアを制した広州恒大の手練手管は鹿島と同種のもの。川崎Fと2分けに終わったグループステージからの変わり身は必至と言っていい。うまく先行逃げ切りの勝ちパターンに持ち込めるかどうか。いまの日本王者にとって、無理な相談ではないはずだ。

 3チームがそろってラウンド16を突破すれば、日本勢が東地区のファイナリストになる確率は一気に4分3へ跳ね上がる。そうなれば、実に9年ぶりとなるアジア王者への返り咲きが現実味を帯びてくるだろう。

 急接近か、総崩れか。どちらの可能性も十分だからこそ、ラウンド16から目が離せない。ここで潮目が変わるかどうか。決戦は5月の第4週と第5週。答えは、もうすぐ出る。(文=サッカージャーナリスト・北條聡)