引退会見を開いた浅田真央(c)朝日新聞社
引退会見を開いた浅田真央(c)朝日新聞社

 フィギュアスケート女子の2010年バンクーバー五輪銀メダリストで、世界選手権を3度制した浅田真央(26)が4月12日、都内で引退会見に臨み「(ソチ五輪後に)2年間の休養を経て挑戦してよかった。フィギュアスケートは私の人生でした」と21年間の競技生活を振り返った。また、「たくさんの山を乗り越えられたのは皆さんのおかげです」とファンや家族、コーチらに感謝の気持ちを伝え、晴れやかな笑顔を見せた。ただ、会見の最後には、感極まって涙を浮かべていた。

 会見会場には、海外のメディアも含め多くの報道陣が集まった。真っ白の服で髪をひとまとめにして現れた浅田は最初に関係者への感謝の言葉を述べ、2日前にブログで引退を発表してから会見までの周囲の反応をまず、紹介した。

「少し前には家族や友達へ報告を済ませていました。ブログで発表すると、たくさんの方が連絡くださいました。『お疲れさま』『よく頑張ったね』と。『選手生活が終わるんだな』と思いました」

 昨年12月の全日本選手権で12位に終わり、引退を決めるまでにはかなりの葛藤があった。2015年5月に復帰を表明した際、「平昌五輪を目指す」と宣言していただけに、責任を感じてもいたようだ。浅田は、最終的な決断に至った経緯について、こう説明した。

「復帰し、いい形でスタートできましたが、試合に出るにつれ『時代について行けるのか?』と思いました。復帰前よりもつらいことが多く、1シーズンは乗り切れたけれど(2シーズン目)最後の全日本選手権で『もう、いいんじゃないかな』と。でも、『(平昌五輪まで)やり遂げなければ』という思いもあって……。全日本選手権が終わった時、結果が出て『終わった』と思いました。トリプルアクセルに挑戦して競技人生を終えることは自分らしかったと思います」

 復帰後は左ひざの故障もあって、なかなか思うような演技ができなかった。「ソチ五輪後の休養宣言からそのまま引退するという選択肢もあったのでは?」という質問も出たが、浅田は「苦しい2年間」を肯定的にとらえ、毅然としてその意義を語った。

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