仮にプレスリリースという手法を用いるのであれば、リリース内容の情報をどうつくり出すか、という最初の一歩で、メディア側の採用の可否が決まります。つまり、同じ情報なのに、その切り取り方次第で「よくある情報」になったり、「おもしろい情報、広めたい情報」になったりするのです。

 とはいえ、どこを強調すれば「おもしろい情報、広めたい情報」になるのかは、つくり手側にいるとつかめないことが少なくありません。企業側は「すごくおもしろい」「画期的だ」と思っていても、実際にはメディアの人や消費者に刺さらないことは珍しくありません。

 ではどうすれば自社の商品・サービスを客観的、俯瞰的に見て、真におもしろい情報、広めたい情報、共感される情報に落とし込むことができるのか?

 その情報をつくるためのツール(考え方)が「8×3の法則」です。

 この法則を使うことで、自社の商品やサービスについて具体的、かつ客観的に掘り下げていくことができます。すると、どの部分を武器にしてプッシュしていけば、より効果を得られるのかが見えてくるのです。

「8×3の法則」とは何なのか、詳しく説明していきます。

「8×3」は、バズる効果を最大限に高める法則です。では、「8」と「3」とは何か。図を見てください。

自社の商品やサービスの強みを探る(8)
       ×
消費者に受け入られるか検証する(3)

「8×3」のうちの「8」とは、1の「新規性」から8の「地域性」までの8つの性質を指します。自分たちがPRしたい商品やサービスの強みが、この8つのうち、どれに該当するかを考えていきます。

 ここで自社の商品やサービスの強みを探り、どこが優れているのか、他社よりも抜きん出ているところは何かを明確にしていくのです。

 その後で、この「8」で洗い出した強みが、果たして消費の立場に立ったときに本当に求められているのかどうかを考えていきます。それが、「8×3」の「3」の部分にあたります。

「3」は、社会、人(ターゲット)、メディアの3つです。社会が求めている情報か、ターゲットとなる消費者に本当にアピールできる情報か、メディアが取り上げたくなるような情報か、その3つの視点で考えるのです。

「8」で企業(自社)視点で強みを洗い出し、「3」の消費者視点で「8」の性質を客観視して確認する。いったん「8」で洗い出した情報を「3」で揉む。ひと手間加える感覚です。この「3」のひと手間が、企業側のひとりよがりを防ぎ、結果としてバズりやすくなるのです。