小川監督はこう分析する。

 「最近は、教室でもそうですが、リーダーシップを取ったり人に注意をする子が、嫌がられたりいじめられたりするケースが多いんです。でも彼女は自分自身がしっかりやるべきことをやっているから、言われた選手も、納得してきちんと話を聞くことができるんでしょう。こちらとしても安心して見ていられます。お父さんが大学の監督をされていて(黒後の父、洋さんは宇都宮大学バレー部の監督)、監督がどういうふうに選手に接しているかというのを子供の頃から見ていたから、チームスポーツはこういうものだという理解が根底にあるんじゃないでしょうか」

 ここ最近、全日本にはおとなしい選手が多く、強烈なリーダーシップでチームを牽引するタイプの選手がいなかった。その意味で、プレーでも言葉でも周囲を引っ張ることができる黒後は得難い存在だ。

 まだ18歳で、全日本に行けばほぼ最年少になるだろうから、高校時代と同じように遠慮なく、というわけにはいかないだろう。それでも少しずつ、全日本を変えていってくれることを期待せずにはいられない。