歯にいい飲み物、悪い飲み方を把握して、健康で美しい歯を保ちましょう(※イメージ写真)
歯にいい飲み物、悪い飲み方を把握して、健康で美しい歯を保ちましょう(※イメージ写真)

 30代の5人に1人が歯周病といわれる現代。歯周病は糖尿病や早産などのリスクを高めることも報告されていて、中高年だけの問題ではない。とはいえ、仕事に家事に忙しい毎日。よく口にする飲み物で、少しでも歯周病ケアができたら……。

 そんな淡い期待を胸に、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の和泉雄一教授の研究室を訪ねた。和泉教授は、12月17日開催の「オーラルケア・セミナー2016」でも講演する歯周病の専門医で、日本歯周病学会の理事長でもある。

 研究室に伺うと、教室事務の方が緑茶を出してくれた。和泉教授はさっそく、「まさにこの緑茶は、歯にいい飲み物といえますね。虫歯も歯周病も、細菌の組成や生活習慣など、複合的な理由で発症します。飲み物も生活習慣のひとつですから、歯への影響はもちろんあります」と耳よりな話を教えてくれた。

 緑茶にカテキンが含まれていることはよく知られているが、カテキンは細菌やウイルスに対して抑制作用があり、「ミュータンス連鎖球菌」などの虫歯菌や「ポルフィロモナス・ジンジバリス」などの歯周病菌の増殖を抑えてくれる。紅茶も同様に、抗菌作用のある紅茶ポリフェノールを含んでいる。

 意外なのはコーヒーだ。コーヒーの消費量が多い人は歯の根を支える歯槽骨の損失が少ないという、ボストン大学の研究結果があるのだという。和泉教授がその理由をこう解説する。

「歯周病の原因のひとつが活性酸素で、歯茎の中で増えると歯茎の組織を破壊します。コーヒーには活性酸素を抑える働きがあるため、歯周病の予防効果が期待できるのです」

 だが、砂糖入りは注意が必要だ。糖分が含まれていると虫歯になりやすいだけでなく、口の中が酸性に傾くことで歯のエナメル質が溶けやすくなり、酸で歯が溶ける「酸蝕歯(さんしょくし)」の状態になってしまうという。

 酸蝕歯は知覚過敏の原因になり、進行するとかみ合わせの悪化などにつながる。ダメージが大きい場合は、歯を抜かなくてはいけなくなることも(!)。酸蝕歯は、虫歯・歯周病に継ぐ第3の口腔(こうくう)疾患のひとつとして注目されており、ライフスタイルの欧米化などにより、近年日本でも増加しているというのだ。

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