ポストシーズンでは活躍できなかった前田だがシーズンを通して評価は高かった。(写真:Getty Images)
ポストシーズンでは活躍できなかった前田だがシーズンを通して評価は高かった。(写真:Getty Images)

 現地時間10月25日よりMLBのワールドシリーズが開幕した。カブス対インディアンスというカードに対するアメリカ国内の注目度は高いが、日本人選手が出場しないことを残念に思うファンは日本には少なくないだろう(注・カブスの川崎宗則はロースター登録されず)。

 今秋はレッドソックスの上原浩治、レンジャーズのダルビッシュ有、そしてドジャースの前田健太がポストシーズンに出場。それぞれ前評判の高い強豪チームに属しており、上位進出の可能性も高いと目された。しかし、中継ぎで好投した上原を除き、ダルビッシュ、前田は物足りない結果に終わった。この2人の先発投手に関しては、プレーオフではチームの“戦犯”になってしまったと言っても大げさではあるまい。

 ただ、例えそうだとしても、今季をトータルで振り返れば、この3人の日本人選手たちにとって2016年は収穫のあるシーズンだったのではないか。シーズン終了後の在米メディアの評価も、それを裏付けている。

 ドジャースの先発3番手を任された前田は、ポストシーズンでは仕事を果たしきれない姿ばかりが印象に残ってしまった。プレーオフでは3試合で10回2/3を投げ、合計8失点。一度も5イニングを投げきれず、本人の表情からもフラストレーションばかりが感じられた。

 もっとも、メジャー1年目で最後に息切れはしたが、それでも今季の前田の働きはドジャース首脳陣の予測を上回るものだったはずだ。

 「前田健太は良い投手だ。来季以降も良いローテーションの一部になっていくだろう。ポストシーズンの短い登板のことは忘れ、レギュラーシーズン中に32先発、175イニング突破した上で防御率3.48を挙げ、契約に含まれた出来高をすべて手にしたことを思い出すべきだ。今季中にドジャースは前田について理解し、十分に休ませた方が良くなることを知ることもできた」

 ESPN.comの有名記者、バスター・オルニーがそう記している通り、シーズン中の前田はチーム最多の16勝をマーク。昨秋に8年2500万ドル+出来高という奇妙な契約をドジャースと結んだが、歩合の基準を次々とクリアし、最終的に今季は1300万ドル以上をゲットした。懐疑的な声を吹き飛ばし、その実力はメジャーでも十分に通用するとアピールできたと言って良い。

 今季の活躍の後で、前田には来季も先発ローテーションのスポットが与えられるだろう。そして、1年目にプレーオフの時期まで投げきったことが財産となり、来年以降は今年以上に上手に長いシーズンを乗り切れる可能性も高いはずだ。

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