原口らのゴールにより、苦しみながらも最終予選のホーム初勝利を挙げた日本。(撮影・六川則夫)
原口らのゴールにより、苦しみながらも最終予選のホーム初勝利を挙げた日本。(撮影・六川則夫)

 2018ロシアW杯アジア地区最終予選の第3戦が10月6日に埼玉スタジアムで行われ、日本は後半アディショナルタイムの95分に山口蛍の劇的な決勝ゴールが決まってイラクを2-1と退け、ホームで貴重な勝点3を手に入れた。

 「薄氷を踏む思いの勝利」とは、まさにこのことを言うのだろう。立ち上がりはスタメン平均年齢約23歳と若いイラクのロングボールと空中戦に押し込まれ、3分には左CKからポスト直撃のシュートを許すなど後手に回った。攻めてもロングパスは簡単にタッチを割り、ショートパスでもミスが目立った。CB森重真人が「ちょっと雑と言うか、繊細さがなかった」と振り返ったように、3本連続してパスがつながらない。これでは攻撃の形ができるはずもない。

 ようやく10分過ぎからパスが回り出し、26分に清武弘嗣のドリブル突破を起点にカウンターを仕掛け、最後は原口元気の技ありヒールキックで先制点を奪った。ただし、この日の日本はその後もカウンターでしかチャンスを作れなかった。ハリルホジッチ監督が「美しいつなぎが今日はなかった」と振り返ったように、遅攻になると岡崎慎司と本田圭佑、原口がイラクゴールに背を向けてパスを要求しても、タイトなマークを受けているため清武や柏木陽介はインターセプトからのカウンターが怖くてパスを出せない。時おり岡崎や本田の前線での動き出しはあったものの、MF陣やサイドバックの酒井宏樹とはなかなかタイミングが合わず、パスが来ることはなかった。

 そうして追加点を奪えないまま後半を迎えると、60分にはイラクが左FKからサード・アブドゥルアミールが頭で合わせて同点ゴール。9月のUAE戦に続いてFKからの失点だが、酒井宏の軽率なプレーで与えたFKでイラクは息を吹き返した。これで追いつかれた日本、ハリルホジッチ監督は67分に「柏木はボールを奪うところで疲労を感じていた。山口にはできるだけ高い位置でプレスをかけ、可能性があればシュートを打て」と、ボランチの山口を送り出す。結果的にこの采配が的中した。

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