タイトル争いで、チームメイトのハミルトンをシンガポールGPで逆転し、現在ポイントリーダーとなっているのはニコ・ロズベルグ。いまだ日本GPでの勝利はないが、昨年までの2年間は予選でハミルトンを抑えてポールポジションを獲得。過去4年、チャンピオンになったドライバーは皆、日本GPを制しているだけに、ロズベルグにとっては初タイトル獲得へ向けて、是が非でも鈴鹿での初優勝を果たしたいところだ。

 今年の日本GPは週末の天気が下り坂。2年前の日本GPでは雨の中、ダブルイエロー区間でコースアウトしたジュール・ビアンキのマシンが、マシンを改修中の作業車に突っ込むという事故が起き、昨年ビアンキは帰らぬ人となった。事態を重く見たFIAは即座にルールを改正。レース中に作業車を出す場合は、バーチャル・セーフティカー(VSC)を出して、全区間強制的に速度を落とす対策を取り、悲劇はその後、繰り返されてはいない。

 また今シーズン限りでF1からの引退を表明しているフェリペ・マッサと、来季は1年間休養をとるジェンソン・バトンにとっては、今年の鈴鹿は特別な日本GPとなる。そのバトンが所属するマクラーレンにパワーユニットを供給しているホンダにとっても、鈴鹿はホームコース。F1プロジェクトを指揮する長谷川祐介総責任者は「トップ3に続くチームを懸けて戦いたい」と、復帰後鈴鹿での初入賞を目指している。(文・尾張正博)