人と会社の相性も同じこと。自分がいる会社の悪いところを数え上げていたら、キリがありません。物事の良い面を見るようにしていないと、上司がやっていること、同僚がやっていること、いちいち気に入らないところが目について、不満たらたらになってしまいます。すべてが完璧な人などいないように、すべてがすばらしい理想の会社など、この世にないのです。新しい会社に入るのであれば、自分で意識してその会社との相性を「創っていく」ことです。

──「相性を創る」には、どうすればいいでしょうか?

「物事の良い面を見る」ということが大切です。優秀な人は、ニトリにかぎらずどの会社に行っても、上の人間が無能に見えてしまいがちです。事務作業の処理能力が高い人ほど、その基準で相手と自分を比べてしまうのです。でもそれは実は、相手の短所を見ているということです。それだと本当の実力は見えてきません。

 男女の関係にしても、最初から完全に相性がぴったりという人など、まずいません。恋愛中はいいのだけれども、結婚して3年も経つと、お互いのマイナスのところが目についてきます。そこで「この結婚は失敗だった」などと考えるのではなく、「せっかく縁があったのだから」と考え、相手に自分を合わせていく。相手の欠点には目をつぶり、相手の長所を見つける。お互いの個性を認め合って、自ら努力して相性を「創っていく」のです。

 いい夫婦とは、お互いに相性を創っていける人たちです。お互いに自分の立場ばかり主張すると、離婚するしかなくなります。相手が相性を創ろうとしているのにそれがわからないようだと、逃げられてしまいます。結婚も就職も物の見方一つで、うまくいったり、いかなかったりするものなのです。