陸上男子100m予選で準決勝進出を決めたケンブリッジ飛鳥=6月24日撮影(写真:Getty Images)
陸上男子100m予選で準決勝進出を決めたケンブリッジ飛鳥=6月24日撮影(写真:Getty Images)

 8月14日(日本時間)に行われたリオデジャネイロ五輪、陸上男子100m予選。日本代表の桐生祥秀と山縣亮太、ケンブリッジ飛鳥の決勝進出と9秒台突入が期待される中での第一歩といえるレースだったが、結果は明暗が分かれた。

 最初に“明”となったのは第4組で走ったケンブリッジだった。同じ組には昨年の世界選手権で9秒99を出して決勝に進んだ蘇炳添(中国)など、9秒台の選手が4名いる厳しい条件だった。それでも絶好のスタートからスムーズに加速すると、崩れのない走りでまとめて10秒13。アンドレ・デグラッセ(カナダ)に次ぐ2位になって準決勝進出を決めた。

「みんな速いなと思ったけど、自分も調子がよかったのでチャンスはあるなと思った。普通に、前向きに走りました」

 緊張より楽しさの方が先行したというケンブリッジは、3番手の立場から優勝をさらった日本選手権と同じように、挑戦する意識だけで走ったが故の好結果だったといえる。

 もうひとり“明”を拾ったのは第8組の山縣だった。9秒台の選手が2名しかいないという幸運も活かし、冷静な組み立てで加速に乗ってから先行すると、最後は9秒89の記録を持つアカニ・シンビネ(南アフリカ)に交わされたが、もうひとりの9秒台ランナーのアーロン・ブラウン(カナダ)を0秒04抑えて2位に。記録は10秒20だが向かい風が最もきつい1.3mという条件だった。

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