もはや芸術…飛騨高山に「世界屈指」のパン屋があるワケ (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
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もはや芸術…飛騨高山に「世界屈指」のパン屋があるワケ

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美しく大きさと形がそろったクロワッサン

美しく大きさと形がそろったクロワッサン

「トラン・ブルー」のシェフ・成瀬正さん(中央)

「トラン・ブルー」のシェフ・成瀬正さん(中央)

連日、長蛇の列ができる「トラン・ブルー」

連日、長蛇の列ができる「トラン・ブルー」

生のフルーツを使ったデニッシュも絶品

生のフルーツを使ったデニッシュも絶品

 岐阜県高山市に、全国から観光客と弟子入り志願者が集まるパン屋がある。パン職人のワールドカップといわれる「クープ・デユ・モンド」で3位に入った成瀬正さんが腕を振るう「トラン・ブルー」だ。聞けば、個人店ながら、高山市を訪れる観光客が訪れる“名所”になっているらしい。

 成瀬さんのこれまでの歩みを紹介しておこう。高山市内で100年以上続くパン屋の4代目。父は学校給食用のパンを製造していた。大学を卒業後、都内の老舗ホテルなどで修業した後にUターン、1989年に高級志向のパンを扱うトラン・ブルーを開店した。

 「フランスには全国に地元の水や食材を生かしたパンを焼く職人がいる。自分も故郷で愛されるパン屋になろう」(成瀬さん)という思いから、都市部への出店の誘いを断り、高山で技を磨いてきた。

 店内に入ると、黄金色のクロワッサンが整然と並んでいる。27層に折りたたんだ生地が均一に膨らみ、香ばしく焼き上がっている。触れると表面が崩れてしまうので、客は欲しい数をスタッフに伝えて包装してもらう。フランスパンの仕上がりも美しい。焼く前、きれいに膨らませるためにクープという切れ目を入れ、焼き上がると木の葉のような形になる。トラン・ブルーのパンは、クープの大きさと形が見事にそろっているのだ。

「クロワッサンとフランスパンの出来で職人の腕が分かる」(成瀬さん)と言われ、いろいろな店の商品を食べ比べてみた。すると、多くのクロワッサンはサクサク感を出そうとして焼き過ぎ、外側がこげ茶色になり、苦みが出ている。また、焼きが甘く、サクサク感に欠けるものも……。フランスパンのクープがそろっている店は、なかなかお目にかかれない。

 トラン・ブルーではパンを縦横きっちりそろえて並べている。商品の回転が早い店ならば、二段重ねや山積みにするが、碁盤の目に沿って置いたよう。だからこそ、大きさや形、焼き上がりの色がそろっているのは一目瞭然だ。フルーツを盛ったデニッシュは、やや小ぶりでケーキのような繊細さ。食べる前に視覚が刺激され、「あれも、これも食べたい!」と思ってしまう。

「うちのパンを見て、“わぁー!”という声が上がればうれしい。私たちは精神を集中して生地を切りそろえたり、フルーツを盛ったりしています。いびつな形のパンは店頭に出しません。美しさはおいしさにつながります。また、トングを伸ばす角度に合わせて商品を斜めに置いています。店頭に並ぶ姿から逆算して手順を工夫します」(成瀬さん)


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