ハノーファーで活躍した清武、セビージャでは8番手か(写真:Getty Images)
ハノーファーで活躍した清武、セビージャでは8番手か(写真:Getty Images)

 セビージャの清武弘嗣は、スペイン・リーガエスパニョーラで活躍できるのか?

 その質問を、関係者からたびたび浴びる。

 それは筆者がスペインでプレーした大久保嘉人、福田健二、家長昭博、そして鈴木大輔らを長年にわたって追ってきたからだろう。

 日本人選手はスペインで足跡を残せていない。城彰二、西澤明訓、中村俊輔、ハーフナー・マイクら日本代表選手はまったく歯が立たず、わずか半年で終わっている。昨季、乾貴士はエイバルで準レギュラーまで地位を高めたが、主力には届かなかった(リーグ戦先発出場は半分以下)。

「ハノーファーで10番をつけた清武こそは!」という期待感があるのだろう。しかし過去の取材経験から言えば、「見通しは厳しい」と言わざるを得ない。

「リーガは無名の選手からしてめちゃうまい」(家長)

 その証言にあるように、スペイン・リーガエスパニョーラは奥が深い。

 なにが他国のリーグと違うのか。一口に言えば、「相手の持ち味を出させない戦術的駆け引きがうまく、逆説的に自分たちの持ち味を出す戦術に長けること」だろうか。例えばカットインしてからのシュートがうまくて一度は通用する。しかし、以後は読み切られて封じられ、もしくは逆手に取られてしまう。言わんや、単純なスピードや高さでは、簡単に良さが消されてしまうのだ。

 清武が入団したセビージャはヨーロッパリーグ3連覇を果たしており、リーガでも毎年、上位に名を連ねる。現在、日本人選手が所属する欧州のクラブの中でも、1、2を争う実力だろう。チーム内のポジション争い、バルセロナやレアル・マドリーを擁するリーガエスパニョーラの水準は、イングランド・プレミアリーグで優勝したレスター・シティ(岡崎慎司が所属)のレベルを上回る。香川真司のボルシア・ドルトムント(ドイツ)、本田圭佑のACミランも凌駕するだろう。

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