「清武はドイツで活躍していたことがアドバンテージ」という楽観論もあるが、ブンデスリーガのハノーファーは降格の憂き目に遭い、レベル差は激しい。そもそも、スペイン人にとってブンデスは、“経験の乏しい若手が成長し、伸び悩んだ中堅選手が移籍して復活を遂げる”というリーグ。今シーズンもスペインの2部や3部にいたミケル・メリノ(ドルトムント)、マジョラル(ヴォルフスブルク)が新天地に選んでいる。

 そして清武は現地時間7月25日に、右太ももの肉離れから練習を再開したばかりだ。チームは新シーズンに向けて始動して2週間以上が過ぎ、アメリカ遠征を終え、ドイツ遠征に入っている。言葉の面の問題もあるだけに、このロスは大きい。攻撃的MFとしてはビトロ、コノプリャンカ、サラビア、フランコ・バスケス、イボーラ、ホアキン・コレア、さらにガンソに次いで8番手スタートになるだろう(ピッチに立てるのは3~5人)。

 ネガティブな展望になったが、一つ光明がある。それは清武が、2年以上かけてセビージャスカウト陣が手に入れた選手ということ。その慧眼は世界屈指、数十人が何度も会議を重ね、獲得候補をふるいにかける。選りすぐられた多く選手はセビージャで活躍し、トップクラブに移籍している。「セビージャに声をかけられた」と言うだけで価値が上がるほどだ。

 果たして、清武は8番手から追い上げなるか。

(文・小宮良之)