交通イベントや京都伊勢丹とのコラボイベントなどにも多くの人が訪れ、グッズが完売するなど、ますます人気は広がっている。

 この熱意をかたちにする方法はないかと考えていたところ、クラウドファンディングで資金を集め、アニメ化するという企画が持ち上がった。

 今回のクラウドファンディングでは、集まった金額によって作品の仕様が変わっていく仕組みを採用。当初は100万円を目標額とし、到達金額によって「30秒のPV」から「5分間の短編作品」「新グッズ制作」など仕様が変わるようにしたところ、開始1時間で100万円を突破。最終的には目標の10倍である1000万円に到達した。

 アニメ制作を担当する魚雷映蔵は、14年にも同キャンペーンの3本の15秒CMを製作しており、人気の火付け役でもある。プロデューサーの佐野リヨウタさんは、きっかけをこう話す。

「京都市交通局にあまりITに明るい方がいなかったんです(笑)。それで、代わりにSNSを通して情報を発信するようになったところ、熱心なファンの方の存在を目の当たりにするようになりました。昨年市内で開催されたイベント『京都マンガ・アニメフェスティバル(京まふ)』でCMを上映したところ、200人ほどのキャパの会場に、400人が詰めかけてくれたんです」

 また、クラウドファンディングを交通局ではなく、制作会社の魚雷映蔵が行ったのにも理由がある。

「アニメ制作のための予算を交通局が新たに設けることは難しい。そしてそもそも行政側が積極的にこのような形で集金をつのる行為も難しいんです」(佐野プロデューサー)

 クラウドファンディングの都道府県別の支援額は、トップの地元・京都府に続いて2番目に多かったのは東京都だった。

「京都のファンはすぐ現場にいけますが、他地域の方には飢餓感があったのではないでしょうか」(佐野プロデューサー)

 アニメの完成披露は、9月に開催される「京まふ」で行われる予定。ますますの盛り上がりをみせるが、京都市交通局は冷静に受け止めている。

「あくまでも地下鉄の利用促進をPRするためのコンテンツですので、その基本の部分がブレてはいけないと考えています」

(太田サトル)