「帰って次の日にリハビリと練習に行きました。とにかく悔しかったので、早く動きたかったんです」

 世界選手権の代表に選ばれるまでに、厳しい国内選考を乗り越えてきた。それでも、直前まで何が起こるかはわからないことを、身をもって知った。だから彼女にとっては「笑顔で帰ってくる」ところまでが重要なのだ。

 そんな彼女には、ある意味では金メダル獲得より高いかもしれない、目標がある。

「女子の体操をもっとレベルアップして、盛り上げていきたい。男子に負けないくらいにしたい」

 日本は男子に関しては世界トップクラスの体操の強豪国と言えるが、女子はまだそれには及ばない。代表合宿でも、男子は多くの選手が「金メダル獲得」を目標に掲げる一方で、女子のそれは「五輪出場」にとどまることが多い。そうした現状を、内山はもどかしく思うこともあったという。

 そうした女子の現状に変化を与えるためには、やはり五輪という大舞台で実績を残すことが必要になる。男子はこれまで数々のメダルを手にしてきたが、実は女子がメダルを獲得したのは、1964年の東京五輪での銅メダルひとつのみ。内山は「ふたつ目のメダルを獲得することで、体操女子を盛り上げていきたい」と目標を掲げており、公式サイトでもそれを公言している。

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