本間さんは観光車両のドライバーや住民らへの聞き取りを経て、現地主導で問題解決に取り組める手段として、15年11月、ブレストの小型油化装置を導入。16年1月、アルゼンチンとボリビアで開催された世界的に有名なラリー競技大会、ダカールラリー では、環境省と共同でブースを出し、装置のデモンストレーションを行った。来場者はその性能に驚き、数時間後には、プラスチックごみを集めてきてくれたという。

 現在週2回、現地の小学校でも環境教育の授業をしているが、授業のたびに、子どもたちが家からプラスチックごみを持って来てくれるようになった。それと並行して、国立サン・アンドレス大学環境問題プロジェクトの客員講師や、同大と環境省の共同プロジェクトの統括者などを務めている。

 そして、現地の電力に負担をかけずに装置を動かそうと、日本の太陽電池メーカー、ソーラーフロンティア (東京都港区)に協力を求め、16年5月に太陽光パネルを提供してもらった。同社の太陽光パネルは、環境汚染物質であるカドミウムが含まれておらず、過酷な環境でも対応できることが実証されているからだ。また、バッテリーは、ウユニ塩湖で大量に採掘できるボリビア産リチウムを利用することとした。

 さらに、本間さんはいま、ボリビア初の「環境教育リサイクルセンター」を設立する構想を抱く。現地主導でプラスチックごみを石油というエネルギーにリサイクルして、現地に還元し、環境保全への取り組みを進める拠点となる施設だ。将来的には、ウユニ塩湖を「観光と環境を両立するエコビレッジ」として世界にPRし、観光地としての競争力強化にもつなげていくのが狙いだ。

 しかし、現在資金面で難航しているため、16年5月から日本のクラウドファンディングサイト「READYFOR(レディーフォー)」に「ウユニ塩湖をごみから守りたい!ボリビア初環境教育センター設立」というプロジェクトとして掲載し、資金を募っている。6月21日までに、センターの建設費など85万円を調達することが目標だ。

 本間さんは「環境教育センターの設立は、現地主体で、現地に還元し、自然保護も行えるというみんなが幸せになる可能性を秘めているプロジェクト。将来、ウユニ塩湖がよりきれいに、より活発な観光地、観光以外でもいろいろな人が行き来する場所になった姿を想像すると心が躍る。住民や日本企業、観光客との間でよい循環をつくり出したい」と意気込む。

 本間さんがウユニで描く夢は、少しずつではあるが、現実になりつつある。日本でのクラウドファンディングにより、本間さんの夢が多くの人に伝わり、賛同者が増えることを期待したい。(ライター・南文枝)