デザインはどんどん細分化されており、刺繍やラインストーン、飾り鋲など、ファッション性が増している。男子に人気の色は今も圧倒的に黒で、次いで青系の落ち着いた色が多いという。ただ、背当てに鮮やかな差し色が入っていたり、かぶせに刺繍、かぶせ裏にプリントが施されていたりと、ディテールにこだわりが見られる。女子はピンクや赤のほかサックスブルーなど好みが分散しており、最近はラベンダーやパールカラーも人気だ。また、ジェンダーレスファッションの流行で、ブラウンやキャメルなど男女を問わないベーシックカラーへの注目も高まっている。

 さらに、大きく変わったのが販売時期だ。以前「sesame」では12月にランドセル特集をしていたが、ここ2、3年は夏に繰り上がり、去年からは春になったという。今年、タカシマヤは4月1日から店頭でカタログを配布、土屋鞄製造所は3月にプレカタログを配布している。なぜ年々早まっているのか。

「デザインや色などの種類が豊富になっている反面、子どもの数は減っているため、メーカーとしては早めに受注して生産を確保したい。夏に買いに行ったら、ほしかったランドセルがもうなかったという失敗談もよく聞きます。今は入学1年前からリサーチが可能になっているので、早く動くほど選択肢は多いです」(同)

 特に、生産数が少ない工房系や、時間がかかるオーダーメイドは、早めに注文しなければならない。販売を早めた百貨店には、通常の顧客にいち早く情報を届けるために、また外国人観光客の購入も見越して、早めに顧客を確保したいという狙いがある。ランドセルはファッションアイテムとして、海外の大人にも人気のアイテムになっているのだ。

 ランドセルを選ぶポイントは、「とにかく背負ってみて、その子の体型に合ったランドセルを選ぶことが大切」だという。重さを軽減するベルトなどの工夫も、子どもの体型によって合う合わないがあるからだ。

「百貨店を取材したとき、『最初が肝心』と言っていたのが印象的でした。子どもは成長するから今は多少重くても……と思っていましたが、最初に『重い、辛い』と思ったら、ランドセルを背負うのが楽しくなくなってしまう。その子が背負いやすいランドセルが一番です」(同)

 小学校の6年間をともに過ごす、大切な相棒であるランドセル。子どもと相談しながら、どうぞ楽しいランドセル選びを!