試合を作るという先発投手の仕事をやってのけたダルビッシュ(写真:Getty Images)
試合を作るという先発投手の仕事をやってのけたダルビッシュ(写真:Getty Images)

 テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有が、現地3日のシアトル・マリナーズ戦でトミー・ジョン手術から復帰して2度目の先発。6回途中3失点ながら2勝目を挙げ、チームのア・リーグ西地区での単独首位浮上に貢献した。

 この日のダルビッシュは、1年9か月ぶりのメジャー復帰でMAX158キロをマークした前回登板ほどの凄みは感じられなかったが、試合を作るという先発投手の仕事はしっかりやってのけた。

 初回はマリナーズのリードオフマン、青木宣親を2球で打ち取るなど三者凡退。2回は1死からヒットを許したが、昨季までソフトバンクで活躍した李大浩ら後続を抑えた。

 ところが3回、先頭打者へのフォーシームが4連続で外れてストレートの四球と突如制球を乱す。これがきっかけとなって1死一、三塁から2番セス・スミスの犠飛で失点。この時点でのスコアは3対1、レンジャーズのリードは2点に縮まった。

 打席には一発のあるロビンソン・カノ。ホームランならもちろん同点となる。ここが最初の勝負どころと踏んだか、ダルビッシュのギアが明らかに上がった。カノに対して内角へ156キロ、157キロのフォーシームを投げ込む。これらはいずれもボールと判定されたが、最終的にはフルカウントからの外寄りのカットボールでカノを内野ゴロに仕留めた。試合のポイントを嗅ぎ分けるダルビッシュの勝負勘が長期離脱後でも衰えていないことを証明したシーンだった。

 同じことは5回のピッチングにも言える。6対1とリードが広がって迎えたこの回、ダルビッシュは先頭の李大浩のヒットなどで無死二、三塁のピンチを招き、内野ゴロの間に1点を返された。なおも1死三塁。追加点を許して3点差まで追い上げられれば、前日のサンディエゴ・パドレス戦で2対12から大逆転勝ちを成し遂げたマリナーズが相手なだけに、試合の行方は分からなくなってくる。

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