当然1フライトごとのタイムも速く、昨年のタイムを参考にすれば、50秒台前半のタイムで勝負は争われるだろう。レース会場に足を運ばれる人は、世界屈指の高速決着を一瞬も見逃すことなく、存分に堪能してもらいたい。

 そして最後に、日本から、いやアジアからただひとりレッドブルエアレースに参戦している室屋義秀について、触れておこう。

 43歳の室屋は今年で参戦5シーズン目。年齢的にも経験的にも現在のレッドブルエアレースでは中堅パイロットといった立場にある。昨年は年間総合で自己最高となる6位となった。今年は年間総合での表彰台(3位以内)を目指している。

 今年これまでの2戦は不運もあって8位、14位と、結果は出ていないが、機体の調整は順調で、自身の操縦も安定している。表彰台に立てるだけのポテンシャルは十分にある。室屋は過去3位が最高で、優勝の経験はないだけに、自国開催のレースで初優勝ということになれば、最高のシナリオだ。

 果たして、千葉の空に日の丸が翻るのか。サムライパイロットの異名を取る、室屋義秀の活躍に期待したい。

(文・浅田真樹)