高校生の時も英語クラブに、宿題に受験に、合唱コンクールといろいろ追われていた。

 大学生の時は、サークルに追われ、塾のバイトに追われ、恋愛に就職活動に追われていた。

 それだけでも、毎日、なんだかんだあるのに、旅行やコンパや飲み会を入れるから、とにかく、毎日何かに追われていた。

 働き出してからは、仕事に追われ、結婚したら、子育てに追われ、50歳過ぎて、ふと思い立って大学院に行ったために、修士論文やレポートにひたすら追われている。

 そして、ふと、思った。

「なんで、わたし、ずっと、こんなに追われる生活をしているのだろう?」

 他人から見たら、「しんどそう」「大変」と、思われているかもしれない。

 でも、わたしの人生って、大変でしんどかったのかなあ。

 そんなことを考えているうちに、疑問が浮かんだ。

 万が一、大金持ちの家に生まれて、お手伝いさんなんかいて、黙っていても、不動産収入とかある生活。

 お金にも時間にも追われない。

 それこそ、毎日パーティしていてもいいような生活。

「そんな何も追われない生き方ができたら、どんな人生だったかなあ?」

 のんびり、海でも眺めて、好きな時間に好きなことをする。

―――あかん。想像できない。

 それどころか、3日で飽きそう。

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