田園地帯に“謎の物体”! カルトな人気を集める「円筒分水」ってナンだ? (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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田園地帯に“謎の物体”! カルトな人気を集める「円筒分水」ってナンだ?

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富山県南砺市にある赤祖父ため池の円筒分水

富山県南砺市にある赤祖父ため池の円筒分水

富山県魚津市にある東山円筒分水槽

富山県魚津市にある東山円筒分水槽

岩手県奥州市にある徳水園の円筒分水工(写真提供:胆沢平野土地改良区)

岩手県奥州市にある徳水園の円筒分水工(写真提供:胆沢平野土地改良区)

 富山県南砺市内の田園地帯の一角にUFO出現か? はたまたローマ時代風の噴水なのか? 円形の物体から表面張力で盛り上がった水が、四方八方に絶え間なく、あふれている。この不思議な光景は一体何なのか? 

 付近で農作業をする男性に聞くと、「円筒分水(槽)」というらしい。地域によっては、「円形分水」とも呼ばれる。農業用水などを正確に分配するための利水施設で、細部の形や大きさはさまざま。全国各地の田んぼのあぜ道や草むらにあるそうだ。

 日本では古来より、農業用水を巡る争いが絶えなかった。地域住民は話し合いの末、水を引く時間割を設けたが、時間に応じて水量が増減するため、不満が噴出した。また、流れに並行して水路を仕切ると、場所によって水量が違うので不均衡が生じる。公平に水を分ける方法はないものか……。住民は長年にわたり悩み続けてきた。
 
 これを解決したのが、円筒分水である。円筒の中心に水を導き、360度全方向へ均一に流れ落ちる水を、仕切りの配置や、出口の数などで分ける。例えば、耕地面積に応じて3方向に3等分するなら円筒の上部を120度ずつ仕切ればいい。落ちる水を受ける外縁部を仕切る仕組みのものもある。導きたい方向と量に応じて水を正確に分配し、それが一目瞭然である。この画期的な装置は大正時代、農業土木技術者の可知貫一(かちかんいち、1885~1956年)氏によって発明された。

 ここまでの知識は、「円筒分水ドット・コム」による。同サイトは、全国各地にある100カ所以上のデータや、円筒分水にまつわる情報を集積する場になっている。管理者は埼玉県内に住む会社員の金山明広さん。1997年に栃木県日光市にある今市用水の円筒分水を初めて見て「これは何だ?」と興味を抱き、全国の円筒分水を訪ね歩くようになった。以来、北は青森、南は熊本まで約80か所を巡ってきた。

 2007年にサイト上で集めたデータを公開すると、全国各地から写真や映像が寄せられるようになり、現在は約100カ所の情報が公開されている。グーグルマップを活用して「円筒分水・円形分水全国版」を作った「同志」とつながり、近畿一円の情報を集約していたファンによって滋賀県一円が円筒分水王国であることも分かった。魅力を共有するネットワークは広がり、進化を続けている。

さて、「円筒分水巡り」をライフワークとする金山さんに、印象に残ったものを聞いてみた。


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