かつては日雇い労働をしていた時期もあったが仕事に馴染めず、あいりん地区のメインストリーム「三角公園」でのホームレス生活を行っていた。だが、ホームレス間での人間関係に嫌気が差し、行政に駆け込んで生活保護受給を受け暮らすようになって3年という彼の目には橋下前市長が推し進めてきた市政は、“弱者切り捨て”と映った。

「生活保護受給率ワーストからの脱却やて? 世間様と折り合いがつけられんかった俺らでも受け入れてくれる懐の深さが大阪には、西成にはある。それが橋下市長はわかってへん。そもそも大阪で保護受けてる者の多くは他の地域から流れ着いた者も多い。そういう人間にとって西成は“駆け込み寺”でもあるんや」

 実際、ヨシダさんのいうように、大阪市の生活保護受給者の半数以上は、「大阪市外からやって来た人」(大阪市関係者)だという。それでも大阪市行政が生活保護受給者に手厚かったのは、ひとえに「西の大都市自治体としての矜持と責任」(前出・大阪市関係者)からである。生活保護受給要件を満たす人はその出身がどこであれ保護し、将来、税金を納められるよう、それまで見守ろう、そこには行政側によるそんな“親心”がある。

 だが、そうした行政の親心を知ってか知らずか西成に住む生活保護受給者の間には、時として大阪市行政による生活保護受給者への指導が「偉そうにみえた」こともあったという。ヨシダさんと行動を共にする西成の生活保護受給者、ナカタさん(41)が語る。

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