「息子たちは元気が有り余っていたので、ラグビーくらい運動量が多いスポーツが楽しいみたいです。性格に合っていたのかなと思います」

 確かに、試合中ほぼ走りっぱなしのラグビーは体力を存分に使うし、子どもたちの基礎体力を鍛えるのにも適しているかもしれない。また、ラグビーではメンタルの部分での成長も期待できるという。小畑コーチは言う。

「ラグビーは1チームの人数が多く、ポジションもさまざま。試合を進めるうえでは、それを把握したうえでコミュニケーションを取らなければならない。お互いの立場を理解することが必要になるんです。自然とコミュニケーション能力が培われますし、相手のことを考えられるようになります」

 このプログラムに通う小6の男児は、「小5くらいまでは勝てなかったけど、最近になって、勝てるようになったのがうれしい」と話す。勝てるようになった理由は「お互い声を掛け合って、コミュニケーションが取れるようになったから」だと言う。

 一方、ラグビーを始めるにあたって気になるのが、接触などの激しいプレーがあること。安全面の配慮は、どうなっているのだろうか。

「体が接触する激しいプレーは、段階を踏まえて教えるようにしています。小中学校の時点では、しっかりと体づくりをすることが最優先。体が細い子にタックルなどを教えることはまずありません。体ができてから、スクラムやタックルを段階的に教えていきます。教えるに際しても、ケガをさせない倒し方、ケガをしない倒れ方をしっかり教えるようにしています」(小畑さん)

 初心者でも体づくりからじっくり取り組めば、コンタクトプレーにも負けない強いフィジカルを手に入れることができそうだ。

 現在は小学生以下からの経験者も多いラグビーだが、中学、高校から始める選手も決して少なくはないという。現在の日本代表でロックとして活躍する大野均選手も、実は大学からラグビーを始めた選手だ。

「どんな競技にも言えることかもしれませんが、強い気持ちがあれば経験にかかわらず、上を目指せると思います。彼のほかにも、高校で始めて活躍した選手などもいます」と小畑さんは話す。

 2019年には日本でのW杯開催が控えている。ラグビー人気復活の兆しをみせる今、桜ジャージを目指して始めてみるのもいいかもしれない。

(ライター・横田 泉)