制度の本格的な運用がスタートするのは17年7月から。国や市町村などが情報をやり取りするネットワークシステムがつながり、専用のサイトで、確定申告や行政サービスの申請といった手続きが行えるようになる。18年からは、利用範囲を預金口座(預金者の任意)や特定健康診査(メタボ健診)にも拡大する。

■プライバシーは大丈夫?

 前述の調査で、回答者の約8割が制度導入の不安点として挙げたのが、「個人情報の漏えい」や「新たな犯罪の発生」「プライバシーの保護」だった。制度導入後は、納税処理などの関係で、勤務先や取引先、金融機関など、自分以外の人にマイナンバーを知らせる必要も出てくる。自分の番号が悪用されないか、不安に思う人もいるだろう。

 だが、疑心暗鬼になっていても仕方がない。内閣府番号制度担当室の担当者によると、個人情報の自衛策は、「個人番号カードをしっかり管理し、なくさないようにする」「定期的にマイナポータルに接続し、マイナンバーがどのような処理に使われたのかをチェックする」ことだそうだ。

 実際のところ、他人のマイナンバーを知っているだけでは悪用はできない。行政手続きの際は、マイナンバーのみで本人確認をすることはないし、マイナポータルへの接続は、個人番号カードがないとできない。万が一、個人番号カードを紛失しても、24時間365日対応のコールセンターに連絡すれば、カードの機能停止や再発行の手続きを取ることができる。

 他にも、法律で定められた以外でのマイナンバーの収集・保管は禁止されるし、内閣府の第三者機関「特定個人情報保護委員会」が制度の運用を監視・監督するなどの対策が取られる。

 とはいえ、マイナンバーにひも付けられた情報が流出しないとも限らない。それについては、行政機関が持つ情報は特定のデータベース内で一元管理するのではなく、分散管理する対策を講じる。国税関連なら税務署、年金なら年金事務所、児童手当なら市町村、というように、それぞれの機関で情報を管理し、漏れにくくするのだ。

 さらに、行政機関同士で情報を伝える際は、すべて特別な情報ネットワークシステムを利用し、マイナンバーを直接使わず、暗号化された番号(符号)でやり取りする。このため、たとえある機関で情報が漏れても、他の機関で管理されている情報までは漏れない仕組みになっている。

 情報漏れが絶対起こらないとは言えないが、やみくもに不安がらずに、制度の仕組みをきちんと理解して利用すれば、詐欺などの被害は最小限に抑えられそうだ。まずは関連する情報のチェックから始めてみてはいかがだろうか。

(ライター・南文枝)