祈願の方法は、100円以上の志を納め、切りたい縁や結びたい縁について形代に書く。それを持って念じながら碑の表から反対側へ穴をくぐり、再び穴をくぐって戻る。そして形代をのりで碑に張ると、悪縁から逃れ、良縁をたぐり寄せることができるという。拝観料は無料。碑への祈願は終日利用できるが、お守りや絵馬などが買える授与所は午前9時~午後5時半まで。

 1カ所では安心できない、どうしてもあの人と縁を切りたい! という貴方は、安井金比羅宮から西、徒歩約20分の場所にある「鉄輪(かなわ)の井戸」(京都市下京区)で祈願してみてはいかがだろうか。実はこの井戸、京都のミステリースポットとしても有名。ただ、家と家との間の通りからは奥まった場所に位置しているため、初めて訪れる人は見つけにくいかもしれず、注意が必要だ。

 この井戸には、自分を捨てた夫を祈り殺そうと、丑(うし)の刻参りをした女が、満願を果たす前に身投げした、という言い伝えがある。そこから、井戸の水をくんで縁切りをしたい相手に飲ませると、悪縁が切れるという俗信が広まったという。しかし、「縁切り」で有名になりすぎたことで縁起が悪いということになり、江戸時代ごろには、家庭円満、商売繁盛の神様である「命婦稲荷社」が横にまつられたのだとか。

 社を管理する地元の町内会によると、現在、井戸の水は枯れているという。しかし、ペットボトルなどの水が入った容器を井戸のそばに置いて祈願し、その水を相手に飲ませると縁が切れる、という話が広まり、今でも多くの人が訪れるそうだ。夜に訪れるには怖そうだが、なるほど、確かに効力がありそうに見える。

 思い人とうまくいくように願うもよし、悪縁や悩み事を断ち切るように願うもよし。胸に秘めた思いをぶつけに、京都を目指してみてはいかがだろうか。

(ライター・南文枝)