わたしの知人で山田由理枝さんという女性がいる。

 夫と会社を経営しているだけでなく、営業もする。

 商工会婦人部のお世話もするし、いろんな人の面倒も見ている。

 そして、彼女は、姑さんの介護もして、舅の面倒も見ている。

 そんな彼女が、役所の介護の会議に「有識者の意見を聞きたい」と呼ばれた。

 そして、帰ってきて言った。

 彼女は、怒っていた。

「みんな、『介護施設が足りない』と、そんな話ばっかり! 家で死にたい人だっていっぱいいるのよ。そんなことよりも、兄弟仲良くするとか、親を大切にするという気持ちはないのかしら!!」

 彼女も日本全国をとびまわって仕事をしている。

 夫の兄弟も近くにいるわけじゃない。

 でも、お互いに時間を調整して介護をした。

 自分たちでどうしても無理なところは、ディケアやショートスティも使った。そして、姑さんは、安らかに家で亡くなった。

「施設を増やすことが悪いことだと言う気はないよ。でも、入れっぱなしで、お見舞いにも行かない人たちもいっぱいいる。それがいいとは思えない!」

 と、彼女は言う。

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