ところで、認定医や専門医なら信頼できると言い切れるのでしょうか。松尾歯科医院院長の松尾通歯科医師はこう評価します。

「専門医や認定医は、それなりの努力をしないと取れない資格ですから、一定の基準を満たす歯科医師といえます。でも、専門医や認定医資格をもっていなくても優秀な歯科医師はたくさんいますし、その逆もあるのです」

 学会は、ひと言でいえば勉強会。さまざまな学会に所属しているのは、勉強熱心な証拠でしょうか。「学会に籍を置いているからといって、勉強しているとは限りません」と松尾歯科医師。ただ、どんな学会に所属しているかで、専門分野を推しはかることはできると言います。

「さまざまな学会があり、伝統的な学術系の学会もあれば、新しい学会もあります。学会のホームページを見れば、何を目指し、どんな活動をしているかがわかります。私が会長をつとめる日本アンチエイジング歯科学会では、歯科医療だけでなく、歯にもからだにもいい食事やサプリメントや運動の提案などもしています。そのような助言を歯科医師にも求めたいのであれば、当学会の認定医を調べて、そこを訪ねてみるのもひとつの方法だと思います」

 学会や専門医などを調べるのに欠かせないホームページ。では、各歯科医院のホームページはどの程度、参考にすべきでしょうか。NPO法人みんなの歯科ネットワーク副理事長の大塚勇二歯科医師は「うのみにするのは危険です」と話します。「見栄えのいいホームページで、院長がすばらしい理想を語っていたとしても、それはあくまで宣伝文句ととらえたほうがいい。真実もありますが、そうでない可能性もあるものです」

 所在地、診療時間、休診日、予約の方法、歯科医師の数などはホームページが参考になります。

「あとは実際に受診してみないとわかりません。現状を説明してもらうだけということもできますので、『いいかも』と思えたら行ってみましょう」(大塚歯科医師)

(取材・文/神 素子、イラスト/アサミナオ)

※週刊朝日MOOK『いい歯医者2015 若さと健康を保つ歯科治療』より