意外と長い、と感じた人もいるのではないだろうか。しかし、処方薬の場合は、「処方された日数分を飲みきることが原則」だという。協議会のくすり教育アドバイザーは「医師は診察の結果、患者さんの症状や状態に合った薬を日数分処方している。抗菌薬や抗ウイルス薬の場合、飲み始めて2日程度で症状がなくなっても、体内に残った菌やウイルスが再び増殖したり、耐性化したりすることもある」と飲みきることの大切さを説明する。

 東京都内の内科医は、「余ってしまった薬をとっておき、似たような症状が出た時に自己判断で服用してしまう人もいるかもしれないが、お勧めしない」と話す。持病で処方されている薬でも、処方された時とその後では、症状の変化がないとは言い切れないからだ。

 医師が勧めるのは、家に残っている薬はいつごろもらった何という薬なのかをメモして病院に持って行くことだという。そうすれば、処方薬の量を調整することもできるし、飲み合わせの悪い薬や、薬の重複を避けることもできる。自分だけで判断せず、必ず担当の医師に相談して判断を仰ぐことが大切だという。

 それでも余ってしまった薬は、薬を受け取った病院や調剤薬局に持っていけば処理してくれる。インターネット上などで燃えるゴミとして処理できる、という情報もあるが、医療機関では専門の産業廃棄物業者が回収しているように、燃やすことの安全性が担保できていない以上、やめたほうがいいだろう。また、ゴミ箱などに廃棄すると、子どもが間違って飲んでしまう可能性もあるという。

 飲み残されている潜在的な薬剤費は年間400億円以上に上る、という推計もある。無駄な薬を増やさないためには、受診して薬を処方されなくても過度に不安にならない、せっかくもらった薬は医師の指示通りの期間で最後まで飲みきる、といった患者側の心がけも必要なようだ。

(ライター・南文枝)

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