子どもから大人までが楽しめる福井県立恐竜博物
子どもから大人までが楽しめる福井県立恐竜博物
42体の恐竜骨格が展示された館内
42体の恐竜骨格が展示された館内
「コシサウルス・カツヤマ」の復元模型(模型製作:荒木一成)
「コシサウルス・カツヤマ」の復元模型(模型製作:荒木一成)

 新種恐竜として「コシサウルス・カツヤマ」の標本画像や参考復元模型が、福井県立恐竜博物館で展示されている。同博物館の研究グループが命名した「フクイサウルス」と考えられていた化石の一部が別種と分かり、新たな学名を発表したのである。

 ほかにも、学名が変わったものがある。「イグアノドン・アセルフィルデンシス」が「マンテリサウルス・アセルフィルデンシス」、「カスモサウルス」は「アルバータケラトプス」と変更された。「……サウルス」でなくなると、小さくなったり、凶暴性が和らいだりする気がしなくもない。恐竜の学名変更によって、キャラクターまで変わったのでは? と錯覚することがある。

 そもそも学名の命名は、人間の基準で生き物をグループ分けするときの作業の一つである。その基準に命名規約がある。わずかな標本で命名した恐竜が、後に名前が変わることは珍しいことではなく、グループ分けの基準が変われば容易に変わるのである。

 これまでの標本に加えて新しい骨の部位が発見され、また成長の段階で骨の形状が変化することが明らかとなり、今まで違う種類であると思われていた恐竜が、同じ種類であることが分かった例は少なくない。そこに恐竜の「キャラ変問題」が浮上する。例えば、これまで「……サウルス」という学名が付けられていた恐竜が、先に付けられていた「……ケラトプス」に学名が変わるという場合だ。

 チリ大学などのチームが、ティラノサウルスなど肉食恐竜が属する獣脚類の仲間でありながら、草食とみられる新種恐竜の化石を、南米チリで発見したと4月27日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 先端が平らになった歯があり、草食の恐竜の特性を備えているとか。こちらは、「肉食キャラ」が定着していたティラノサウルスに、「草食キャラ」もいたということになる。恐竜とは実に不思議な存在である。

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