古田氏は、マスク越しに目撃した落合氏とアンパイヤの会話を、次のように紹介している。

「ご本人もややボールと思ったものを仮にストライクと言われても、落合さんはゆっくり振り返ってそのアンパイヤに向かって、いたってやさしい口調で、『ちょっと広めに取っているように思えるんだが、今日はあそこまで取っているんだよな?』と確認をします」(本書より)

 このような確認作業を続けていると、アンパイヤたちは落合氏が際どいボールを見極めているとのイメージを持つようになり、慎重な判定を行うようになったという。

 また、こうした関係づくりを行うバッターは、落合氏以外にも存在したとか。古田氏は「皆さんもバッターを観察する上で、アンパイヤと喋っているか、いつ話しかけているかなどを見て下さい。それまで見えなかったいろいろなものが見えてくるはずです」とファンにすすめている。

 本書ではこの他に、「マー君の一流の証は『バント処理』に出ている」「ダルビッシュの『カーブ』と他の投手の違い」「恩師・『野村監督』が教えてくれたこと」などコアなファンならずとも興味深いトピックが並ぶ。

 野球観戦をより楽みたい人は、「古田式」を実践してみてはどうだろうか。