県岐阜商のエース・高橋純平(c)朝日新聞社 @@写禁
県岐阜商のエース・高橋純平(c)朝日新聞社 @@写禁

 いよいよ3月21日に第87回選抜高校野球大会が開かれる。開幕を前に、各マスコミはさまざまなデータを紹介している。「チーム打率」や「チーム防御率」、あるいは「個人の通算打率」や「本塁打数」、「投手の防御率」などだ。

 これらのデータはチームや選手の能力を示す重要な指標だが、プロ野球では、さらに細かな数値でチームや選手の能力を分析する「セイバーメトリクス」という分析法が浸透している。この分析法では、投手は「与四死球率」や「奪三振率」、打者は「出塁率」や「長打率」が重要な項目になる。

 今大会でも、有力校や有力選手を割り出すのに「セイバーメトリクス」を取り入れることができないだろうか。そこで、ディフェンス面では投手の「与四死球率」や「奪三振率」、「チーム失策数」、オフェンス面では「打者の四死球数」、さらに盗塁数(チーム、個人)を見ながら、マスコミが見落としている好チームと好選手を割り出してみた。

 ただ、盗塁数は「セイバーメトリクス」では顧みられていない。なぜ、盗塁数を重視したのか。それは、日本のプロ野球界では盗塁数とチーム成績が比例することが多いからだ。以下に示す数字はすべて新チーム結成以降の公式戦で記録したものである(参考資料『ホームラン3月号』廣済堂出版)。

 では、具体的にみていこう。「与四死球率」と「奪三振率」では、前評判の高い県岐阜商の高橋純平が圧倒的に高い数値をたたき出している。高橋は、最速150キロを誇る大会屈指の本格派右腕だ。彼の与四死球率は1.42だった。与四死球率とは、1試合(9回)にいくつ四死球を与えたかを示したもの。つまり、高橋は1試合投げても。与えた四死球が2個未満という、制球力の優れた投手なのだ。今大会に出場する32校のエース投手で、1点台だった投手は10人。そのなかでも、高橋は最高の数字を残している。やはり、かなりの好投手といえるだろう。

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