一般的に、与四死球率がいい投手は、奪三振率は悪いことが多い。しかし、高橋はこれに当てはまらない。高橋の奪三振率は9.24。つまり、1試合に9個以上の三振を奪っている。この数字は、32校のエース投手のなかで3番目に高いのだ。高橋以外にこれに当てはまる投手は平沼翔太(敦賀気比)だけ。彼らはストレートの速さだけでなく、制球力にも優れた投手だということがわかる。

 だが、彼らがエースとしてチームを牽引する県岐阜商と敦賀気比が文句なしの優勝候補だと言い切れない。なぜなら、チーム失策数は県岐阜商が15、敦賀気比が12…これでは“堅守のチーム”だと評価できないからだ。この分野では、前評判の高い大阪桐蔭が2個(1位)、天理が5個(5位)と上位に顔を出している。投手の“個人技”では物足りないが、チーム全体で失点を防ぐという考え方が両校に浸透していると考えていいだろう。

 次に、オフェンス面をみてみよう。四死球と盗塁数が多いのは、仙台育英と静岡だ。特に、仙台育英はこれらの項目にくわえて。エース・佐藤世那の奪三振率が9.57。投打のバランスが取れているチームといえる。

 一方、個人の数字はどうか。盗塁数は松商学園の百瀬雅也がトップの14個である。余談になるが、昨年のドラフト会議で横浜DeNAがドラフト6位で指名した選手も長野県出身の百瀬大騎(松本第一高)だった。兄弟かと思い、地元の新聞社に問い合わせたが、そういう話は聞いたことがないという。同県、同姓、俊足の奇しき縁といえるかもしれない。

次のページ