自家消費を基本とする同発電所は、2007年4月から発電を開始。年間の推定発電量は240万kW/hほどで、約650世帯の電力を賄える発電量だ。これにより年間で約900トンのCO2排出を抑制できるという。また、ここで発電した電力は地域の飲料水をつくる近隣の大門浄水場に供給され、建物の照明や送水ポンプ、空調などに使用されている。

 同プロジェクトでは新たな発電所の導入を加速するため、開発地点を同一水系に絞ることを事業方針としており、北杜市と民間のパートナーである、小水力発電に50年の歴史を持つ三峰川電力株式会社(丸紅グループ会社)の協働で事業が進められている。市の生活環境部・環境課・新エネルギー推進担当者は、「民間ができることは民間に任せるというのが、市の基本的なスタンス。我々は許認可取得や手続き、住民への説明など地元への橋渡しで支援していきたい」と話す。

 その後、新たに建設された3発電所(合計出力650kW)は12年4月に発電を開始し、三峰川電力が運営している。市営を含む4発電所の年間の推定発電量は7,000MW/h。発電電力は北杜市世帯の10%に当たる約2千世帯の年間電力消費量に相当する。

 「村山六ヶ村堰の発電事業は立地条件が整っていたため、計画から運営まで短期間で実現できました。市は小水力発電所を増やす方向で取り組んでいますが、200~300kW規模の発電に適していて、条件のいい場所となると、なかなかありません。10~20kWほどの小規模であれば候補地はあるので、小規模な設備を積み上げていくか、ある程度の規模が見込める条件のいい場所に絞るか、現在は検討中です。」(前出・市担当者)

 市担当者が指摘するように、小水力発電の事業化に関してはそれなりの「ハードル」が残っている。地域の、そして日本のエネルギー自給率を上げるためにも、これまで以上に制度改正や資金援助など事業化のハードルを下げる施策が必要なのではないだろうか。