■家の安全性の判断は新耐震基準で行う

 2つ目の「家の安全確認」は、主に地震災害に関連する条件。もっともわかりやすいのが、“いつ建てられたか”を確認する方法だ。

「建築基準法で定められた壁量の規定は1950年以降2回強化されています。1959年以前は現状の41%、1980年以前は72%の量の規定なので、この期間は合法でも耐震性が不足している可能性が高い。1981年の規定は、新耐震基準と呼ばれ、これを満たしていれば安全と考えていいでしょう。さらに壁の量を現行規定の1.5倍相当としたものが住宅性能表示における『耐震等級3』です。大地震時の損傷が少なくなることが期待できます」

 建築基準法では「震度5強までは壊れてはいけない」とされ、地震発生後も安全に住み続けられるという。さらに、震度6以上の地震が起きたときは「倒れないこと」が最低条件。家そのものが傾いてしまっても、人命が守れればよいという考え方である。

「従って、床の傾き、柱の傾き、屋根のうち、どれかひとつでも問題が見つかったときは、要注意。床にゴルフボールを置いて自然に転がる場合は、床が大幅に傾き、地盤が崩れている可能性があります。プロでなければわかりませんが、柱が8~12cm傾いていたら倒壊寸前。すぐに避難が必要と考えてください」

 雨が降ったときに、天井に水が染みていたら防水性に問題あり。台風によって屋根の瓦が飛んでいたり、穴が開いていたりするので補修が必要だ。

 そして、在宅避難に必要な3つ目の条件は「部屋の安全」。これは、地震に備えて家具の固定や配置を変えるなど、日頃から意識できる点が多いという。

「なかでも、倒れやすい本棚は置き場所に注意しましょう。ベッドなど人が寝ている場所で本棚が倒れないレイアウトや、ドアの開閉を塞がない位置に置くのがポイントです。倒れた本棚がドアを塞いで避難ができない、というケースも珍しくありません」

 家具の固定は、壁と家具をL型金具とネジで留めるのがおすすめだ。

「一時期、家具と天井の間に入れる『突っ張りポール』が流行しましたが、突っ張る面積が小さいので固定力が低いことがわかっています。天井が変形すると、突っ張りポールは外れてしまうようです」

 家具固定アイテムは続々と登場しているそうなので、本稿を機に部屋の耐震術を見直すのもアリだ。

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在宅非難で重要な3つの事前準備