●小売店の支出が減り消費者負担が増す

 消費者がレジ袋やごみ袋にお金を支払う一方で、小売店は、今まで経費であったレジ袋が商品となり売り上げに寄与する。

 日本で流通するレジ袋を年間300億枚(諸説あり)とすると、大きさはいろいろあるが、平均1枚4円で1200億円の計算になる。

 例えば、年間1億枚のレジ袋を使用する大手小売店は、有料化でどれだけの恩恵があるか。

 仕入れ金額が2円(税込み)で、利益を取らずに1枚2円(税込)で販売する場合、2割の客がレジ袋を購入すれば、2000枚×2円=4000万円が売り上げとなる。

 今まではレジ袋購入に2億円(1億枚×2円)を支出していたが、レジ袋有料化により、利益が0円としても支出は2億円減り、さらに売り上げは4000万円増えることになる。

 そして、小売店が潤う分、そのすべてが消費者の負担になる。

 すでに一部の小売店や飲食店では、バイオマス素材を25%以上配合したレジ袋を使うことで無料化を実現している。比率が高くなるほど環境負荷は低くなる。多くの店がこうしたレジ袋を使えば、消費者は別途にプラスチック製ごみ袋を買わずに済む。

 プラスチックのレジ袋を有料で販売するのではなく、温暖化対策に貢献するレジ袋を無料で消費者に提供する、こうした企業の努力は評価されるべきだろう。

 なお、有料化の対象となるレジ袋には「持ち手がある」という条件がある。

 スーパーマーケットなどで、レジの後、袋詰めをするための「サッカー台」と呼ばれる作業台には、濡れているものや肉などを入れるための透明のビニール袋が、ロール状になって置かれている。これもプラスチック製であるうえ、レジ袋のようにごみ袋として再利用されることは少ないにもかかわらず、持ち手がないので有料化の対象外である。

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新型コロナで増えるプラスチックごみ