●新型コロナで増えるプラスチックごみ

 プラスチックごみ削減問題で、今、レジ袋以上にもっとも気になるのが「新型コロナウイルスによるプラスチック製品の需要拡大」である。

 世界中を襲った新型コロナウイルスは、莫大なプラスチックごみを生み出すことになった。

 マスクのほとんどはプラスチック製であり、フェースシールドや透明なついたて、間仕切り、マスクをはじめとするさまざまな医療用機材も、多くはプラスチック製である。特に医療用機材は、病原菌が付着している可能性があるのでほぼ使い捨てである。再利用もリサイクルもできない。

 しかも、巣ごもり需要が高まり、テイクアウトやデリバリー商品が増え、それらの多くはプラスチック容器で包装されている。

 スーパーマーケットなどでは、野菜類のバラ売り(裸売り)が減り、トレイに載せてプラスチックフィルムで覆ったり、プラスチックの袋に入れたりした商品が多くなってきた。ベーカリーでもパンのほとんどをプラスチックで覆っている。

 もちろん日本だけではない。この半年間で、世界中ではどのくらいのプラスチック製品が生産されたのだろうか。想像もつかないが、この状態がいったい何年続くのだろう。

 今は、プラスチックごみのことなど考えていられないが、こうした感染症対策のためのプラスチック製品をどうするのかということは、レジ袋を減らすことよりも、はるかに大きな課題であることに間違いはない。

 今回のレジ袋有料化は、最初に述べた目的にあるように、プラスチックごみを削減することではなく、国民の意識改革にある。

 しかし、それ以上に重要なのは、政府の意識改革である。

 政府がプラスチックごみの問題にどう向き合うのかを明確にするとともに、本気で削減に取り組まなければ、レジ袋の有料化を行ったところで、その効果は極めて小さいものとなるだろう。