●プラスチックごみが減らない2つの理由

 なぜ、レジ袋を削減してもプラスチックごみは減らないのか。

 大きく分けて2つの理由がある。

 1つは「ごみ袋の需要が増える」ことだ。

 レジ袋は、スーパーだけではない。ドラッグストア、家電量販店、ホームセンター、衣料品、玩具店、書店、カー用品店、お土産店など、消費者はあまり意識していないが、意外と多い。それだけレジ袋を多く手に入れていて、ほとんどの消費者は、ごみ袋などに再利用している。

 レジ袋は「伸びる、丈夫、縛ることができる」という便利さがある。持ち手があることで縛ることができ、密閉性もあるので、においも閉じ込めることができる。

 その利便性から、生ごみ用の袋に活用している家庭は多い。犬の散歩時に、フンを入れる袋としての利用もある。ごみ箱の内袋としても、その大きさ・容量などがピッタリだ。

 小さく折りたたむことができ、かさばらないので、バッグに1~2枚入れておけば、買い物時などに何かと便利だ。簡易的なマイバッグであり、レジ袋の再利用(リユース)にもなる。レジ袋は、非常に使い勝手が良いのだ。

 こんな便利な袋が、無料で手に入らなくなる。そうなれば当然、その代替となるごみ袋を買わなければならない。できれば、レジ袋と同じ持ち手(とって)のあるごみ袋がよい。ホームセンターなどの小売店やネットでも販売しているが、1枚数円する。それならば、小売店でレジ袋を買った方が、持ち帰り袋と家庭でのごみ袋として利用できるので、便利で安いかもしれない。7月から、小売店でのレジ袋やごみ袋の売り上げが増える可能性が高い。

 こうしたごみ袋の大半はプラスチック製である。レジ袋が削減できても、代替のプラスチック製袋の需要が増えれば、プラスチックごみは減らない。

 もう1つは「バイオマス25%のレジ袋は無料」ということだ。

 有料化の対象外となる買い物袋には、(1)プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの(2)海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの(3)バイオマス素材の配合率が25%以上のもの――の3つがある。

 バイオマス(動植物に由来する有機物)プラスチックは、原油、石油ガス、可燃性天然ガス、石炭を除いた資源から作られているが、25%程度では生分解されるものではない。普通のプラスチックごみと大差はない。

 では、なぜ有料化の対象外となったかというと、化石燃料素材ではないので「地球温暖化対策に寄与する」という理由だ。

 つまり、プラスチックごみ削減とは別次元のことで対象外となっている。

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小売店の支出が減り消費者負担が増す