これらは無意識に出るフレーズなので、本当は他人に指摘してもらうのが確実なのですが、現実的ではありません。地道な「セルフ矯正」が唯一の道なのです。

 放送局のアナウンサーでも、「えー」「あのー」のフレーズをしっかり抜くには、3年はかかります。

「えー」「あのー」を入れないことを強く意識すると同時に、話したい内容を明確に持つクセをつけることも重要です。

 私が元卓球選手の平野早矢香さんに生放送でインタビューをしたとき、驚くべき経験をしました。

 平野さんは特別なアナウンスの訓練を受けていないはずなのですが、会話の中に「えー」とか「まあ」という音を一切挟まなかったのです。

 平野さんに「卓球の魅力は何ですか」などと質問すると、「卓球の魅力は相手のラバーの角度やボールのスピードによって、自分の対応が変わること。

 それを素早く自分の中で決断する楽しさです」といった答えが、よどみなく出てきます。

 インタビューの間、私は驚きっぱなしでした。こちらが「あのー」を連発しました。

 平野さんクラスのトップアスリートは、明確な目標を持ち、決められた時間の中で確実にトレーニングメニューをこなすというストイックな生活を送っています。

 質問をされたときも、答える内容が自分の中でハッキリしているので、無意味な音を挟む必要がないのでしょう。

 このように意識の持ち方によって、無意味なフレーズを少なくできるのです。

 私でも全部なくすのは無理ですが、数をコントロールするのが理想です。

 一方、「えー」とか「まあ」のフレーズが一切なくなると、AI(人工知能)のように感じられることもあるので、人間味を出すようなときには口グセや「えー」「まあ」などは有効です。