●長電話を「強制終了」させるフレーズ

 クレーム電話が長引いたり、頻繁にかかってきたりする場合も、同様に応対する時間を区切ります。

 ただし、「何度もお電話を頂戴していますが……」などという曖昧な言い方だと、納得されない可能性が高いでしょう。

 次の事例をご覧ください。

 健康食品メーカーのフリーダイヤルに、毎日午後3時頃になると電話をかけてくる老人がいた。

 用件は商品内容の説明など、他愛のないものだ。まれに、折り返し電話を求められるが、そのときは「夕方以降に電話は寄越すな」と言う。どうやら、家族には電話を聞かれたくないらしい。日中、暇つぶしで電話をかけていることは、ほぼ間違いなかった。

 ただ毎月、商品を定期購入しているお客様なので、むげにもできない。
担当者は連日の対応に疲れ果てていた。

 そこで私(筆者)は「これまでの通話データを揃えて、相手に断りの返答をする」ようにアドバイスした。

 翌日、老人から電話がかってきて、同じような内容を繰り返そうとした。
そこで担当者は、やんわりと断りの意思を伝えた。

「×月×日から今日まで、合計○回、電話をいただいています。1回の電話も×分以上なんです。申し訳ありませんが、次からは一般的なお話には対応しかねます。私としては、商品についてご説明したい気持ちもあるのですが、会社の方針として対応できないんですよ」

(了)

 このケースでは、初期対応では禁句である「会社の方針」という言葉を使っていますが、お客様がすでにモンスター化し始めているこの段階では、有効です。

 そもそも、相手と話していて「おかしいな」と思ったら、早めにモードチェンジすることが大切です。

「相手の言い分を聞き、なにごともよく話し合って解決を図ろう」というのは、クレーマーとのやりとりでは通用しません。相手の言い分をしっかり聞くことで、いつの間にか相手の土俵に上ってしまう恐れがあるからです。

次のページ
断りのフレーズはシンプル