●なぜ「アウトドア」がおすすめできないのか?
なぜアウトドアが疲れてしまうのかを考えてみます。
そのために、まずは「ホームとアウェイ」についてお話ししたいと思います。
日常生活の中で、ホームとアウェイを意識したことはあるでしょうか。
サッカーや野球などのスポーツで、ホームやアウェイという言葉はよく使われますが、ふだんの生活の中においては、ホームが文字通り「家」「自宅」などで、アウェイはそれ以外の「外」すべてです。会社であったり、学校であったり、スーパーであったり、「家」の外のすべての空間がアウェイです。
何の気兼ねもなく自由にくつろげる自分の家(ホーム)と比べ、アウェイ、すなわち家の外は危険がいっぱいです。
いつどこで不測の事態に遭遇するかわかりませんし、他人の目にさらされることもあって、無意識のうちに常に「緊張状態」を強いられます。つまり、交感神経が常に優位な状態になっているわけです。
家から外に出た瞬間、もうそこはアウェイの世界。ということは、毎日8時間以上、外で働いている人は、通勤時間を含めると1日10時間以上をアウェイで過ごしていることになります。
アウェイで過ごす時間が1日10時間以上もあるということは、動物にとって大きなストレスです。
●自然界にも、1日「アウェイ」で過ごす動物はいない
自然界で考えても、肉食動物や雑食動物が1日10時間もアウェイの状況で活動していることはありません。
たとえば、サバンナのライオンも1日のうち狩りで時間を費やすのは1時間以内であり、ほとんどの時間を縄張りの中(ホーム)で家族とくつろいでいます。
それに比して、現代人は自然界ではあり得ないほど多くの時間をアウェイで過ごしています。とくに東京では、朝夕、満員電車にぎゅうぎゅう詰めにされますが、これはかなりのストレスです。会社に着いただけでヘトヘトになってしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。
密集空間がストレスになることは、ラットを使った実験でも確かめられています。
幅・奥行きが30~40センチ、高さ20センチぐらいのケージにオスのラットを3匹入れてやると24時間以内に胃潰瘍を引き起こします。
人間にとって、満員電車は小さなラットケージのようなもの。東京では、ワンフロアのオフィスに100人以上が働いていることも希ではありません。
こんな状況では交感神経が疲弊し、胃潰瘍を起こすのも当たり前です。