(1)部下はどんなタイプか把握する

 最初にしなければいけないことは、相手のタイプを把握することです。誰でも、いつでも、同じような調子で叱っていては、効果半減です。

 これはアクティブ リスニングの3ステップのうち「準備」にあたる部分で、上司であるあなたは部下のそれぞれの特性を見極め、その上で、タイプにあった指導の仕方、叱り方を探っていかなければなりません。

 日頃から、どんなタイプなのか、性格はどうか、仕事ぶりはどうなのか、得意・不得意は何なのか、体育会系なのか、内向的なのか、どの世代なのか、論理的なタイプなのか、感情的なタイプなのかなど、意識的に観察(オブザベーション)してみましょう。

 ある程度「こういう人間かな」と仮説を立て、こちらからヒアリングしてみるのもよいでしょう。

 その上で、内にこもるような性格の部下には、人格を完全否定しているようにとらえられないよう、いい面を指摘してから失敗を指導するとか、これまで同じような失敗例があったということを共有し、心の逃げ道を用意してあげるとよいでしょう。

 また、論理的なタイプには、感情に任せて叱らず、叱っている背景や改善方法、その先に見える目的などを論理立てて話すと効果的なはずです。

(2)叱る「場所」を考える

 アクティブ リスニングでは、ロケーションを非常に重視します。「叱る」際も、場所が与える効果を使わない手はありません。

 例えば、職場で部下を叱るというとつい会議室などの密室を選んでしまいがちですが、そのイメージだけで相手は息が詰まる思いがするものです。

 それによって心を閉じてしまい、なかなか素直にこちらの言うことを聞き入れてもらえなかったり、部下自身も本音を言えない雰囲気ができあがってしまうのです。

 ここはあえて、外が見えるオープンな場所や、日の当たるカフェなどで叱ってみてはどうでしょう。

 周りの目があるので、こちらもつい激昂して執拗に叱責を重ねるといったことが避けられます。

 日の光を感じ風景を意識できる空間では、相手も必要以上に深刻に落ち込んだり、陰鬱な気持ちになったりすることも避けやすいでしょう。むしろ、ポジティブな気持ちで次に挑戦しようという気持ちになりやすいはずです。

 また、じっくり部下の話を聞きながら指導したいという時には、地下にある喫茶店や少し照明の暗いカフェやバーが効果的です。じっくり腰を落ち着けて話に向き合おうという雰囲気が生まれるからです。

「歩きながら」というのもいいでしょう。

 大事なことはきちんと伝えつつ、相手には過度の緊張感やプレッシャーを与えず、短時間で終わるだろうとうい安心感もあり、部下としては頭を切り替えやすいのです。

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