第20回 つまみかんざしを日常に 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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第20回 つまみかんざしを日常に

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1枚ずつ「つまんで」いきます

1枚ずつ「つまんで」いきます

板にでんぷんのりを伸ばし、つまんだハギレにのりをつけます

板にでんぷんのりを伸ばし、つまんだハギレにのりをつけます

「花びらをふいて」いきます

「花びらをふいて」いきます

乾かして完成です

乾かして完成です

おかちまち店のアンザイ店長(左)とアヤノさん(右)

おかちまち店のアンザイ店長(左)とアヤノさん(右)

 女性は、男性は、とくくってお話をすると、いつも「スズキさん、昭和!」と言われるのですが、前回ご紹介したヒヒロさん、オガワさんしかり、女性の作り手さんの方が、店頭での販売会やワークショップで、積極的にお客さまと触れ合おうとする方が多いと感じます。

 ご自身の商品を「店舗で扱ってよ!」と売り込みのお電話やメールをくださるのも、女性の作り手さんが多いです。物おじせず、「ほんとにいいものはいいんだから」と、素直な気持ちで商品をご提案くださいます。

 今回ご紹介する、つまみかんざし職人、フジイアヤノさんも、そんなお一人でした。

「たまたま、おかちまち店の前を通りかかったら、なんだか自分の商品がぴったりな気がした! ぜひ一度私の作ったかんざしを見て!!」とメールをくださったのがきっかけ。さっそくお会いして、店頭でワークショップや展示販売をすることになりました。

 アヤノさんは美術系の学校を出たわけでもなく、海外旅行の時に、現地の方から日本の文化について質問され、上手く返答ができなかった経験から、日本のモノヅクリ文化に興味がわき、偶然見つけたかんざし職人のワークショップに行ったのだそうです。もともと器用ではあったそうなのですが、かんざし作りにハマってしまい、今では着物屋さんでアルバイトをしながら、つまみかんざしを作り続けています。

 つまみかんざしは、羽二重(はぶたえ)と呼ばれる、柔らかく軽い、光沢のある絹の布を染色し、文字どおりつまみ、糊付けして作られます(糊付けの工程は「花びらをふく」と言うそうです)。京都の舞妓さんのつけている、アレです。伝統的な職人さんは十数人しかいないといわれるこの世界。アヤノさんは、着物を着る時だけでなく、日常で使ってもらいたいと考え、羽二重の代わりに着物のはぎれなどを使って、価格をぐっと落としました。職人さんには弟子入りせずに、自分なりの感性でモノヅクリを続けています。

 ちなみに着物屋さんでアルバイトしているのは、着物のはぎれを集める中で、着物も生地によってカジュアル、フォーマルなどに分かれていることを知り、もっと深く素材を勉強したいと考えてのことだそうです。

 大切にしているのは、お客様との対話。大好きなつまみかんざしを作り続けることで、大好きな日本の文化や歴史を、胸を張って海外の方に語れるようになりたい。そしてその文化を日本の方々にも知ってもらいたい。来月、日本百貨店のイベントスペースを使って、初めて「子供向け」のワークショップを開催します。

 職人という言葉には、硬いイメージがつきもの。ですが、実際にモノヅクリに携わる人に触れ合ってみると、モノヅクリに対する愛情や、「作家」としての創造力、その仕事を楽しんでやっているという充実感が感じられます。だからこそ、その手が作るものに引き寄せられてしまうのですね。

 アヤノさんをはじめ、作り手のみなさんのワークショップがずっと続けられるよう、ニッポンヒャッカテンも作り手と使い手の出会いの場であり続けようと思います。


(更新 2015/8/12 )


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プロフィール

鈴木正晴(すずき・まさはる)

 株式会社日本百貨店・代表取締役社長、ディレクター兼バイヤー。1975年神奈川県生まれ。1997年東京大学教育学部卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。アパレル関連の部門で、海外とのビジネスを多く経験する中で、国内の“モノ づくり”文化に根差したすぐれものをより広いマーケットに広める一助となりたいと考え、2006年3月伊藤忠商事を退社。2006年4月に株式会社コンタン(現・株式会社日本百貨店)を立ち上げる。2010年12月には東京・御徒町に、日本の優れものを集める小売店“日本百貨店”を オープン。食・雑貨・衣料雑貨など、全国から様々なこだわりの商材を集め、作り手と使い手の出 会いの場を提供している。著書に「日本百貨店」(飛鳥新社 2012/12)

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