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女子会、390円。

文・内藤みか

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 最近、女子会をした。それもちょっと変わった女子会で、場所は牛丼屋さんだった。
 ちょっと相談があるからお茶でもしましょう、と言っていたのに、近くにあるのは牛丼屋さんだけで、私たちは390円の丼を食べながら、ガールズトークを繰り広げた。

 もちろん相談というのは恋愛相談。ちょっと気になる素敵な男の人についての話を、なぜか牛丼屋のカウンター席で語り続けた。食事時ではなかったので、店には私達以外に客はあと1人しかいなかった。とても楽しい、時間を忘れてしまうほどのガールズトークだった。でも、私が話していた相手は20代男性だったのだけれど。 

 男性と話しているのに「女子会」だとか「ガールズトーク」だとかいうのは少し妙な気もするけれど、彼がそう言ってくるのだ。どうも前々から誰かと「恋バナ」することに憧れがあったらしい。

 彼は男性だけれど、男性のことを好いているらしい。それはもう本能的なことだろうから、私は決して気持ちを否定したりはしない。なかなか好きな男性の話を誰かにする機会がないと彼は言い、大変だなあと思った。

 けれど彼は私のことを大変ですねえ、と言う。私は40代だけれど、恋愛対象はいつだって20代。これもまた本能が20代を求めているらしく、他の年齢では無理なのでどうしようもないことだった。

 彼は言う。
「なかなか恋愛相手が見つからなくて大変でしょう」
 たしかに大変だ。もはや年齢が圧倒的に上なので、よほどの熟女趣味の青年でないと、相手にはしてもらえない。ちょっとでも近づこうものなら警戒される。逃げ出されたこともある。もう恋愛なんて贅沢な夢なんじゃないかとさえ思う。

 お互いに大変だねと労をねぎらいつつ、私たちは秘めた恋バナに燃えた。私も彼も、相手がびっくりするだろうからなかなか恋心を前面に出せない。バレンタインのチョコも渡せないかもしれない。そんなせつない気持ちを、牛丼を食べながら熱く語り合った。

 そして丼を平らげるころには「いろいろつらいことも多いけれど、好きなんだからしょうがないよね」という結論に至ったのだった。

 今年もさまざまな恋愛模様や電子事情を書いていけたらと思っているので、どうぞよろしくお願いいたします。


(更新 2013/1/ 7 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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