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離婚ねぎらい、5000円。

文・内藤みか

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 久しぶりに居酒屋で女子会をした。相手は離婚して間もない女友達である。

 離婚したばかりの女性というのは、時間を持て余すことがある。今までしていた夫の世話をしなくてよくなったからというのもあるけれど、一番大きな原因は、友人知人からの誘いが一時的に途絶えてしまうからだ。

 気づかわれているのか、離婚直後はあまり遊びに誘ってもらえない。実のところ、当の本人は自由になったわけだからちょっと夜遊びもしたいものなのだ。でもなかなか予定が入らず、気持ちが空回りしてしまう。
 だから私は離婚したばかりの女友達を積極的に呼び出して、お互いの離婚経験をサカナにお酒を飲むことにしている。

 居酒屋の個室に入り、お互いに向き合って、ただただ、離婚の経緯について話を聞く。
 それは大変だったね、とか、うちの姑も厳しい人だったわ、などと、あいづちを打ちながら、ひたすら美味しいものを食べながら、飲む。私ができることなんて、話を聞くことだけなのだ。

 この日の飲み代は2人で1万円。彼女がお手洗いに立ったスキに、私が支払った。世の中には結婚祝いはあるけれど、離婚ねぎらい金のようなものはない。けれど、離婚し、夫のもとを去り、新しい部屋で暮らし始めた彼女は恐らくなにかと物入りだろう。でもそこにはあまり友人知人の支援は入らない。これは少し残念なことだと思う。

 こんな感じで離婚した友達におごって回っている私は、はたから見れば素晴らしい人徳者と思われるかもしれない。でも、本当はもしかすると、一番腹黒い。

 もう少しして彼女が「誰かいい人いないかなあ」とぼやき始めたら、すかさずこう切り出すつもりなのだ。
「それならバツイチのためのお見合いパーティーがあるけど、今度、一緒に行かない?」
 ひとりで行くには気がひけるこのてのイベントに同行してくれそうな友人が増えたことは、正直うれしい。おたがい、人生これからなのだし、これから一緒に新しい出会いを探していこうね、と心の中で呼びかけている私なのだった。


(更新 2012/9/ 6 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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