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男子のいけばな、1500円。

文・内藤みか

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 今までは女性ばかりだった習い事、たとえば料理やバレエや茶道などに、男性が続々参加しはじめているという。
 女性的趣味を愛好する男子のことは、何年か前から乙男(オトメン)と呼ばれている。先日スーパーのバレンタイン手作りチョコ売り場で真剣に材料を吟味している若い男性を目撃したけれど、きっとあれも乙男のひとりなのだろう。

 私の知り合いであるいけばな雪舟流の次期家元増田光晴さんは、こうした乙男の流れを受けてか、男子いけばな教室を開催している。会社帰りのビジネスマンが駅前の教室に立ち寄り、静かにお花をいけているというのだ。

 今回体験授業を1500円でしてくれるというので、私は料理好きなイケメンくんを誘ってみた。彼はふたつ返事で「絶対行く!」。1度体験してみたかったがなかなかチャンスがなかったのだそうだ。
 かくいう私は実は高校時代は華道クラブ。生まれて初めての華道で、花と花とのバランスがわからずオロオロしているイケメンくんに笑みを送る余裕くらいはあった。

 お花というのは不思議なもので、材料は同じなのに、いける人によってまるで別の雰囲気になる。23歳のイケメンくんがいけた花は、ひたすら直立し、勢いがあり、彼の性格をよく現していた。対して私の作品は、傾き、左右非対称で、いけた人と同じように、どこかひねくれている。彼のようにぴんとお花を立てることなんて、もうできないだろう。

 イケメンくんは私のいけた花をしげしげと眺め「みかさんが言いたいことが、この作品にはこもっている気がする。この花が語りかけてくるような感じがする」と言ってくれた。でもきっと私が言いたいことというのは、ちょっと斜に構えた、世をスネた気持ちなのだ。
「あなたの作品は真っ直ぐで、若々しいね」
 そう言ったら「若さだけがとりえですから」と彼は少しむくれた。むくれる必要なんかないのに。この純粋な作品は、きっと若い時しか作れないのに。

 男子が花と格闘する姿を眺めるのは、とても新鮮で楽しかった。このお教室、カップルコースも新設してほしい。そしたら私、イケメンくんと毎週通っちゃうかもしれない。

##写真のキャプ◎青い花器がイケメンくんの作品、ピンクの花器が私の作品です。


(更新 2011/1/27 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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