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男の娘(おとこのこ)バー、1300円

文・内藤みか

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 ずっと前から行きたいと思っていた「男の娘(おとこのこ)バー」に、やっと行くことができた。「男の娘」というのは「実際の女の子以上に綺麗な女装男子」という意味である。
 少し前、テレビ番組のコーナーで、タレントさんが女装をして、その美しさに皆が驚きため息をつく、というも企画がいくつかあった。そのあたりから、リアル男の娘も増えてきた気がする。

 女装男子がお給仕してくれる店は、今秋葉原に3店あるけれど、私はネットニュースで見かけた「NEW TYPE」に入った。チャージがドリンク1杯つき1300円で、あとはめいめいお酒や食事を注文するというスタイルだった。

「男の娘」たちは、どんな格好を見せてくれるのだろう。私はファッションショーのような色とりどりの衣装を勝手に予想していた。しかし違った。数人のスタッフ達は全員メイド服を着ていたのである。

 冷静に考えれば、秋葉原でのお給仕なのだから、メイド服というのは当然なのかもしれない。そして最初に私の目の前に現れたのは、綺麗な女の子だった。線が細くて、メイクもバッチリで、声が絶対普通の男性では出せない、女性そのものの声だった。
 私の隣席の男性が「あのぅ、あなたは女性スタッフさんですか」と尋ねた。しかし答は、「男です」。店内には他にも、美しい「男の娘」達が蝶のようにヒラヒラとメイド服のフリルをなびかせて歩いていた。それをぽかんと口を開けて眺めている女性の私......。

 実は私、十年以上前、女装男子と付き合っていたことがある。その趣味を彼から切り出されたとき、最初は驚いたけれど、彼が「男の娘」になるたびに、次第に可愛らしく感じるようになった。

 それは甘美な経験だった。町でデートしているときは、彼は普通のイケメンなのに、部屋の中に入れば、「男の娘」に変わる。それは誰も知らない私たちだけの秘密だった。私だけが彼に「そのスカート可愛いね」と囁いてあげられるのだ。そして彼はスカートの裾をおさえてはにかむ。その表情の可憐さもまた私しか知らない宝物だった。

 最近の男の子達は細く、骨も筋肉も目立たないので「男の娘」になりやすいらしく、メイド服が本当にお似合いだった。想像以上に胸がときめいたので、きっとまた近いうちにお店に行ってしまうと思う。


*NEW TYPE


(更新 2010/11/ 4 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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