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登校するたびに、100円。

文・内藤みか

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 中学3年の息子は新学期になっても不登校を続けている。これは困った。なぜならば私は家で仕事をしているので、家の中でゴロゴロされてしまうとどうにも落ち着かない。つまり仕事がはかどらないのだ。

 かといって「行く意味がわからない」などとスネている息子に、無理矢理登校させるのも何か違う気がする。親子での話し合いの結果、図書館で自習する、ということに落ち着いた。

 しかし実際に図書館に行ったのは、ほんの3日ほど。
「ひとりで机に座っているとつい眠ってしまう」
 と自分で設定した課題もやらない。息子は高校受験生であり、学校を休むと内申点がマズイ。でも内申点が心配などというと「俺は内申のために勉強しているわけではない」などと屁理屈が返ってくる。いくら息子に学校に行けと言っても「あ?、ママ、今命令した?。命令されたらなおさら行きたくなくなった?」と毒を吐かれる。

 ヤケになった私は、ついにこう言い放った。
「わかった。家にいてもいい。だけど家にいる以上、お前は家の仕事を手伝え」
 朝は7時起床、朝食を終えたら掃除、洗濯、皿洗いにゴミ出し......。普段私がしていることの半分を「家事手伝いしなさい」と彼に課した。「お給料として1日100円あげる」と言ったら「これは仕事と違う気がするからいらない」とそれは辞退してきた。

 初日はぶうぶう言いながらも、流しを水びたしにしながらお皿をきれいにしていた息子は、2日目になると「え?、今日もお皿洗うの?」と文句を言うようになった。
 そしてついに、3日目に「これじゃあ学校のほうがマシだよ」と家を出ていった。そうっと後をつけていったけれど、無事に中学の校門をくぐっていった。うれしいことに今日で3日連続登校し続けている。

 なんだ、こんなことなら最初から「いいよ、家にいても。でもやることはやってね」と息子を受け入れてあげればよかったのかもしれない。

 そして息子は「僕が学校に行ったらママは仕事に集中できるからトクしたでしょ? だから100円ちょうだい」と言ってきた。私は渋々ながらも暑いし何か飲みなさい、と100円玉を学校に行くたびに手渡している......。


(更新 2010/9/16 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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