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おしゃれなバー、10000円。

文・内藤みか

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 知り合いの有名大学生のイケメンくんの就職内定祝いに、おしゃれなバーで乾杯をした。れだけで私は有頂天だった。

 窓の外は高層ビルの夜景。それをソファでふたりで並んで見つめて、なんていいムードなのかしら......そうだわ、こういう時は、彼の過去の恋愛体験でも聞いて、なお一層盛り上げちゃおう!
 と話を向けると、彼が開口一番言ったのは、これ。

「僕は女の子と仲良くなると必ず生理の予定日を聞きます」

 まだ学生だし、子どもを養える立場じゃないから危険日は避けたいというのだが、よく女の子達も教えてくれるものだ。

 彼は徹底してリスクを避けている。たとえば就職も、高給な外資の内定を蹴って、絶対潰れなそうな国内有名大企業を選んだ。そして今は、彼女を吟味しているという。

「海外赴任もあるだろうから、英語ができる女性じゃないと」と、仲良くなった女性には生理周期にプラスして英語の実力を尋ねているという。

「あのさ、人を好きになったことってある?」
「ありますよ。でも一生のことだから、一時の感情に流されずに結婚相手を選ばないと」

 そんな彼が今、周到に準備しているのが、将来の子作りだ。絶対に男の子が欲しいので、男の子ができる方法をネットなどで調べまくっているという。

「女性の興奮が強いと男の子が宿りやすいという情報があったんですよ。だから今は、女性が燃え上がる方法を考えてます」

 普通の男の子なら、女性と一緒に快感を得たくて、そうしたテクニックを調べるだろうに、彼は「僕は気持ちよくなるためにエッチをするのではない」と至ってマジメ。なぜそこまでリスク管理しているのかと尋ねると、

「人生に失敗したくないんです。離婚したくないし、転職もしたくない」

 とのこと。僕はとても保守的なんですと彼は笑ったけれど、人生にはハプニングがつきものだ。突発的事態が起きたら対処できるのかな? と心配になってしまった。

 そして、終電近くなったので、私たちは店を出た。
「今夜はごちそうさまでした」
 と言う彼に手を振りながら、私はとあることに気づいて寂しくなった。

 彼は、私の生理の予定日を尋ねてはくれなかった。私だってまだ現役よ! 社交辞令でもジョークでもいいから、聞いてほしかったなあ?。


(更新 2009/7/16 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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